WORKS
“建物は生きものである。人が住み人が出入りすることでも活気に満ちてそれぞれの表情を生む。北国街道沿いにある明治初期に建てられた商家を、改装し 民宿にすることになった。当初、屋根は抜け、雨が入り、見るも無惨な状態だった。しかし、手を施せば古くても素晴らしい建物に再生出来る資質は十分にあっ た。母屋と三棟の土蔵は残し、朽ち果てかけた離れの二棟を撤去。中庭を広く取り、その奥に宿の経営者用の住宅を新築した。
コンセプトは「調和」。古い建物と新築の住宅との「調和」。庭の三本の松と建物群との「調和」。街並との「調和」等々。特に重要視したのは、宿としての機能面と導線計画である。働く側がいかに効率よく疲れずにサービス出来るかという点に気を配った。
蘇生された建物は庭の松の根づきと共に未来にむかって力強く生き続けることだろう。”
by匠屋nob一級建築士事務所吉尾浩次